ARTISTS
松浦 知也
Profile
Sound Maker/Engineer/Designer/Programmer
音を中心とした様々なメディアにおける「システム」、その中でも特に「ライブ/通信」と「アーカイブ/記録」の関係性をテーマに音響装置作品や電子楽器、演奏システムの制作や作曲、演奏などを行う。またインスタレーションやサウンドアートのサウンドシステム・プログラム開発のテクニカルなサポートや、レコーディング、映像のサウンドデザイン、舞台音響などを務める。
1994年生。2017年東京藝術大学 音楽学部音楽環境創造科卒業、九州大学 大学院芸術工学府 修士課程在籍。
第23回学生CGコンテストアート部門最終ノミネート、アジアデジタルアート大賞2017 学生・インタラクティブアート部門入賞(「送れ | 遅れ / post | past」)。
最近の活動では物理モデリング音源を物理的オブジェクトで再構成する作品「Aphysical Unmodeling Instrument」(奈良・町家の芸術祭はならぁと ぷらす2017 地域連携企画、インターカレッジ・ソニックアーツフェスティバル2017、FREQ2018 ―21世紀初頭の音と音楽―)の展示、またその作品についての研究発表をAESジャパンフォーラム、第34回JSSA研究会で行う。同作品は6月の国際学会New Interfaces for Musical Expression 2018にて展示研究発表予定。
演奏活動ではラップトップ1台からミキサーとスピーカーとマイクのみでの演奏、自作電子楽器での演奏まで幅広く行う。2017年10月「楽器作り、楽譜作り」@薬院 IAF Shop、12月「緑青」@落合Soupなど自らイベントの運営もする。
音声信号処理プログラミング言語Faustの日本での自主普及活動「#faust_jp」で勉強会の開催なども行う。
Web Site : https://matsuuratomoya.com
活動支援:かけはし芸術文化振興財団
Performance
Solo Performance with Exidiophone
自作電子音響楽器“Exidiophone”を用いたサウンドパフォーマンス。
Exidiophoneはスピーカーからマイクロフォンに届いた音が再びスピーカーへフィードバックされる、ハウリングという現象を逆転的に楽器の主要素として扱うものである。
Idiophoneとは体鳴楽器という、ザックスによる楽器の分類法の一つで、ドラムのような膜鳴楽器やピアノのような弦鳴楽器ではなく、シンバルやマリンバのように「物それ自体が鳴る」という意味から来た名前である。
スピーカーとはSpeaker、つまり喋る人のことで、人の代わりに大きな声を出したり、録音された声を喋ることで情報を再生するものとして作られている。マイクロフォンはMicro=小さなphone=音、つまり小さな音を拾い上げて拡大する、もともとの聴診器などでの役割からきた言葉だ。
仮にスピーカーやマイクが今ある音、音楽を全て再生/録音できるとして、それらの領域を塗りつぶしてなおスピーカーとマイクでしか出せない音の領域が残っているはずだ。それは記録/再生でない「スピーカー/マイクそれ自身が鳴らす音」であり、「物それ自体が鳴る」Idiophoneの概念を、そして既存の電子楽器の考え方をも拡張するものだ。
実際の基本構造はデジタル信号処理で実際の楽器を模倣する物理モデリング合成のいち手法、ウェーブガイド合成をベースにしながらも、実際に何か他の楽器を真似るわけではなく、さらに信号処理は全てアナログで行われる。デジタルの時代を前提とした上で現れるもう一つの電子楽器の可能性を追求する。